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マウントの取り合いは、実は生き抜くための手段。しかし、手段でしかないのです。

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と、アドラーは言っています。
対人関係・・・ すべて「人と人の間」ですね。この「人と人の間」に、問題が発生するわけです。

しかし人は、一人で生きることは出来ません。生きるためには、何かどうかの「関係」を、誰かと結ばないといけなくなります。
つまり、人が生きる限りは人間関係が発生して、その間に悩みが発生することは避けられない・・・ わけです。

それでは何故、対人関係に悩みが発生するのでしょうか?

それは、人と人の間に「上下関係」を作ってしまうからです。
もっと言うと、人と人の間に上下関係を「発生させようとする」からです。

確かに人間関係には、上下関係が発生しやすくなります。「立場」の違いが、まず発生するからですね。
親と子供の関係、教師と生徒の関係、上司と部下の関係、取引先の顧客と業者の関係等々。
人間関係には、必ずと言って良いほど「立場の違い」が発生して、そこで上下、強い・弱いといった関係が発生します。

また、立場以外にも、上下関係が発生することがあります。
例えば金持ちか貧しいか、学歴が高いか低いか、住む家が大きいか小さいか、乗っている車が高級かそうでないか・・・。
こういった私たちが持っているちょっとした「差」が、人間関係の上下関係になってしまうこともあります。

こういった物は、よく言われる「マウントを取る」行為の対象にもなりますね。
(時には、恋人の数が多いか少ないか、配偶者の稼ぎが多いか少ないかなんて、身も蓋もないことがマウントの対象になります。)
そしてそういったマウントの対象が、その人にとっては人生の一大事になってしまっている場合もあります。

もっとも、「そういった物は、まったく価値のないことだ」と言ってしまえば、それこそ身も蓋もないことにはなりますが。
しかし当人にとっては、それが「人生の一大事」になってしまうのは、それなりの理由と言った物があるはずです。

マウントを取るとは、「自分が上の立場に立つことで、自分を有利な立場にあることを相手に知らせよう」とすることです。
自分を有利な立場に導く、自分が思っていること言いやすくする、自分の意見を言いやすくして相手を従わせることですね。
相手を従わせるためには、単に自分の意見を主張するだけよりも、より自分を強くするための証拠のような物が必要になります。
そういったものが、マウントを取る材料になるのでしょうね。家の財産やら、車やら学歴やら、配偶者の稼ぎやら・・・。
だから、そういった物を獲得するために、血眼になってしまうわけです。

さらに言えば、そういった物を獲得することで、人生のレースに於いて、より有利なスタートラインに立つことが出来ると考えることも出来ます。
言ってみれば、「戦国時代の武将が、なるたけ目立つ甲冑を身につけて、旗指物を沢山背負っている… こんな状況のような物」だと言えます。
これは単なる「見栄え」の問題ではなくて、人生という戦いを生き抜くための手段、なのかもしれません。

しかし、これは単なる手段です。
往々にして手段を一生懸命にやっていると、それがあたかも目的のように感じられてしまいます。

自分が上に行くことを目指すこと自体は、それだけでは問題ではありませんが、それが高じて人間関係の悩みに発展してしまうと、それは本末転倒になります。甲冑を大きくし過ぎて、身動きが取れなくなっているような物です。何も、わざわざ人間関係を悪くすることはありません。

相手と比較して、「自分が上か下か」を気にしているので、マウントの取り合いになってしまうのです。

上下関係ばかりを気にして、無駄なことに神経をすり減らす必要はありません。
それぞれがそれぞれのベストを目指して、「前に進む」感覚を持つことです。

そうすることで、人間関係を不必要に悪くすることを避けることが出来るはずです。

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