今回話題にする「困ったちゃん」とは、自分の中の「これさえなければ!」と思うような、心理的な現象のことです。
私たちは、自分の中にそんな「困ったちゃん」が何人も居たりします。
例えば、「大勢の前に出ると、緊張して何も話せなくなる、そもそも声が出なくなってしまう」とか。
または、「言いたいことがあるけど、上司や先生に面と向かってしまうと、言いたいことが言えなくなってしまう」とか、言葉の代わりに涙が出てしまって、「泣いてばかりでは、さっぱりわからない」と言われてしまうとか。
他にもありますね。声が震えてしまうとか、どもってしまうとか。
または、「顔が赤くなっているのではないか」と不安になってしまうという人もいます。
さらには、「人混みに出るのが嫌い」とか、「狭い場所に入ると、気分が悪くなるのでは?」と不安に思ったりする人もいます。
確かに誰でも、「こんな時に、こんな風になってしまうのでは?」という不安を抱えて生きています。
そしてそれは、医学的な診断がついたり、不安に対する対処ということで、お薬が処方されることもあります。
それはそれで、正しい対処方法だと思います。
このような不安は、言わば自分の中の「困ったちゃん」であって、常に私たちを困らせるものです。
そして私たちは、そのような「困ったちゃん」を、「余計なもの」として排除してしまおうとします。
確かに、そのような困った症状や現象は、決して自分にとって都合の良いものではありませんね。
そしてそれらは、「ある」よりも「ない」ほうが、生活する上で快適なものですね。
でも、そこでちょっと考えてみてください。
何故、そんな「困ったちゃん」は、私たちの中に居るのでしょうか?
それは、実は私たちを「守ってくれている」ものでもあります。
いきなりそう言われると、びっくりするかもしれませんが。
例えば、「人前で話せなくなる」現象は、「うっかり間違ったことを言ってしまって、人から責められるかもしれない」から、「むしろ、何も言わない方が得策だ」という理由があったりします。
さらに言うと、授業中に間違った回答をしてしまって、周囲の人から笑われたという経験を持っている人が、「また、同じように笑われないようにしよう」と無意識に思ってしまって。その対策として「何も言わない」という選択をしてしまっている、という理由も考えられます。
また、「人前でぺらぺら話していると、目立ってしまって、人から嫉妬されたりするかもしれない」から、「むしろ目立たない方が得策だ」という判断をしてしまっているのかもしれません。
いずれにしても、過去の苦い経験や、起こり得る不都合なことから「自分」を守るために、「困ったちゃん」は出てきてしまうのです。
更には、生育過程で親御さんなどから擦り込まれた価値観、のようなものも関係してきます。
そして、その守り方が、かなりの無茶ぶりに近い緊急避難的な方法なので、「困ったちゃん」になってしまうのです。
だから、その「困ったちゃん」を排除しようとすると、「困ったちゃん」の方が抵抗しようとします。
だから、無碍にそんな「困ったちゃん」を、否定するのは止めましょう。
その「困ったちゃん」が出てきてしまうのにも、理由があります。
その理由をちゃんと聞いてあげて、「困ったちゃん」に対して「ありがとう」を言ってあげて下さい。
そして、「その理由をちゃんと聞いてあげる」という作業が、カウンセリングでもあります。
「困ったちゃん」にも言い分がありますが、それを自分一人で探るのはかなり難しい作業で、他人の助けが要ります。
その助ける人も、「人のこころ」と言うものがわかっている人でないといけません。
だから、カウンセリングが必要になってきます。