物事を解決するためには、たとえ意見が異なっていても、時には対立している人とも話し合わないといけない場合もあります。しかし対立している人と、どうやって話し合えば良いのでしょうか?
同じ意見の人と話し合うときは、既に「相手との関係ができている」という前提のものに、話をすることができます。
しかし、対立している人は、そうではありません。まずは相手との間に、「話し合いができる」という関係を築くことが必要です。
その「関係を築く」ために必要なこと。それは、「聴く」ということです。
自分が話してはいけません。「自分」はとりあえず横に置いて、「私はあなたを受け入れますよ」というメッセージを、相手に対して送ることが必要です。
相手が話すことを「聴く」ことで、そのメッセージを送ることができます。
しかし、ただ相手の話を聞けば良いわけではありません。「聴く」ためには、秘訣があります。
その、秘訣とは…
まず、「最後まで話させる」ということです。
「相手の話を、途中で遮らない」ということです。
よくやってしまうのは、途中で「ああ、わかるわかる」とか、「それは、こう言うことだよね」と言った感じで、自分の感想で相手の意見を決めつけてしまうことです。または、自分の話をつなげてしまって、相手の話を取っ手しまうこともあります。
ただこの場合、相手は別のことが言いたいのかもしれません。それを途中で奪られてしまったのでは、言いたいことも言えなくなってしまいます。
それに第一、自分が言いたいことを遮られてしまうのは、決して気持ちの良いものではありません。
相手の話は、最後まで聞いてあげましょう。
さらに、「相手の話を否定しない」と言うことです。
たとえその話が、あなたの価値観に合わないことであっても、その価値観は、ちょっと傍においておくことが大切です。
例えば、話の途中で、「ちがうよ。これは、こう言うことだよ」といった感じで、相手の話を否定してしまうことは良くありません。
相手の話を「聴く」ということは、とりもなおさず、相手を肯定することが目的です。その「目的」を忘れて、相手を否定してしまっては、元も子もありません。
相手を否定しないと言うことは、相手を「受容する」と言うことです。つまり、相手を「赦す(ゆるす)と言うことです。
人を赦すことは、口では簡単に言えますが、実際には、言うほど簡単なものではありません。まして、対立している人の意見を「赦す」と言うことは、非常に難しいことではあります。
言ってみれば、そこで「自分」が試されてしまうのかもしれません。
しかしそこで、対立している相手と話し合いをしているという、「目的」を思い出すことが必要です。その「目的」を達成するために、「自分」と「相手」のバランスを取ることが必要になってきます。
そのバランスを取ると言うことが、「自分をちょっと脇に置いておく」という感覚です。
「自分」はあくまでも「自分」のまま持っていて、話を聴いている間だけ一時的に忘れておくという感覚です。